利尿剤【評価と位置付け】
今回は最近患者さんからべハイド錠について質問があったため利尿剤について記載してきます。
べハイド錠:
作用時間
フロセミドやルプラックなどの短時間型とダイアートなどの長時間型の中間のイメージ
降圧効果は高くない
単剤処方はほぼなく、他降圧剤と併用で用いる場合がほとんど。下肢浮腫などを伴う症例に半錠だけ追加する先生もいらっしゃいます。
稀に副作用でめまいふらつき事例あり
他にも脱水や電解質異常には注意必要
年々処方頻度は減ってきているようです。
ナトリックスやフルイトランの方がよく使用されている印象です。
フルイトラン(トリクロルメチアジド):剤形がお花
効果
利尿効果よりも降圧効果を期待して処方する場合が多い(ラシックスの方が利尿降圧効果強い印象)。そのためマイルド効果狙うこと多い
塩分を抜くNa排泄薬というイメージで塩分摂取の多い日本人向きの薬と思われる。
少量でも効果実感ありで、ラシックスのように急性期には向かないが長期には問題なし
副作用
頻度は少ないが夏場脱水や電解質異常の副作用で注意
副作用→低K・Na、耐糖能異常、高尿酸血症
ラシックス錠(フロセミド):
効果
慢性心不全に対して第一選択で使う場合多い
利尿剤の中で即効性が高く急性期心不全に強い
短時間作用(長時間のダイアートと使い分け)
副作用
長期使用で腎機能低下やカリウム低下(アルダクトン追加で防止できる)がしばしばあるので定期的な採血するなど注意。
また高用量で聴覚障害に注意
頻尿嫌いで水分摂取制限する方も。
ナトリックス:名前的にNa排泄してくれそう
効果
マイルドで、初期に効果的でその分相対的に副作用頻度も少ない印象。塩分過多に効果的。
フロセミド〉ナトリックス〉フルイトラン、ヒドロクロロチアジド
ラシックスより緩徐で長く効く1日1回
単剤使用はほぼなく、併用使用が多い。
副作用防止の観点で半錠のみ追加することも。
ダイアート:
効果
ラシックスより長く緩やかに効くため、長期使用向きの薬で使いやすい。
ラシックスより弱くマイルドなイメージで頻尿感も少ない→夜間排尿回数少ない
慢性心不全の高齢者に特に使われる印象
もっぱら30mgの使用実績が多い
ルプラック:
利尿効果強いイメージだが、実際はラシックスより作用がマイルドで長く緩やかに効く分低カリウムが起きづらい。
ダイアートより効果時間短いが強さ的に同じ。
アルダクトン:
利尿作用はさほどない。心保護作用あり
もっぱらラシックス等の低カリウム防止観点で併用使用が多い。カリウム保持力は有用。
高カリウムに注意が必要で用量が難しい。腎障害や単剤での血清カリウム5.0以上は困難
長期使用の女性化乳房に注意。そのため男性にはセララなどの処方が、増えている。
以上、利尿剤まとめでした!