薬のブログ

医薬品について、個人的な見解と先生方の意見をまとめました。

ビラノア錠の位置付け

今回は、最近処方されるビラノア錠について記載していきます。

 

POINT

確かな抗アレルギー効果

眠気起きづらい

空腹時服用が肝である

 

ビラノア錠:

確かな抗アレルギー効果

眠気がおきやすいお薬と同程度の効果が見込めるとして最近はよく処方される印象です

また効果は、マイルドからやや強めというイメージで比較的即効性もあると思います。

ただし、1日1回使用だが24時間は持たない印象半減期は11時間)

眠気起きづらい

脳への移行性が少ない分眠気起きづらく、運転注意の記載がない5剤のうちの1つ。

高齢者や眠くなりやすい患者さんからは評判は良いです。

ただし、人によっては眠くなるので注意です。

 

空腹時服用が肝である

食事の影響を受けやすく、食後で血中濃度が半分程度に減少するなど、空腹時服用が必要なお薬です。

基本は寝る前服用が多いですが、食事を寝る前に摂る方や飲み会多い方は服用タイミングが難しいお薬です。ちなみにアルコール摂取との影響はほぼないです。

 

 

以上ビラノア錠の説明でした!

10月後半になり最近は秋の花粉症が気になります。アレルギーを訴える患者さんがここ数日にかけて多い印象です。

ハルシオン錠の位置付け

今回は睡眠導入剤であるハルシオンについて記載していきます。

 

POINT

超短時間型作用で確かな睡眠導入効果

依存性や乱用が問題視されている

副作用として健忘や転倒リスクあり

 

ハルシオン錠(トリアゾラム):

超短時間型作用で確かな睡眠導入効果

入眠効果が強く、作用時間は短いことから翌日の持ち越しもない。

最近は、副作用の少ないルネスタアモバンオレキシン受容体作用のベルソムラやデエビゴ、メラトニン受容体作用のロゼレムといった別アプローチの薬もでているため、最近は見かけることも減り処方量は減少しつつあると思います。

 

依存性や乱用が問題視されている

他のベンゾジアゼピン系薬全般に言えることだが、依存性の強さが問題視されてる。

特にハルシオンは超短時間作用のため、効果実感しやすく患者満足度高いとして習慣化すると離脱が難しい。

反跳性不眠(急な中止による不眠症)あり。

使用患者への見極めが必要。

 

副作用として健忘や転倒リスクあり

たまに飲んだ後の物忘れ症状や朦朧状態になる患者さんもいる。こういった効果は飲酒で増強するため、飲酒は控えましょう。

またそういった場合の転倒には注意が必要です。

 

以上、ハルシオン錠でした!最近アルミ包装からPTPに変わりましたね。

血圧降下薬【Ca拮抗薬の位置付け】

今回は降圧治療の主流であるカルシウム拮抗薬について記載していきます。

 

POINT

 

アムロジピン錠:L型

・効果

降圧治療のファーストチョイスで使用されることが多い

1日1回投与の持続性で効果が確実

降圧不十分でもARBで併用や合剤でOK

・副作用

大きな副作用ないが、高用量10mgの継続で下肢浮腫や歯肉浮腫、頻脈などがたまにみうけられる

 

アダラートCR錠(ニフェジピン):L型

・効果

確かな降圧効果で即効性もある鋭い切れ味

持続力はあるが、半減期アムロジピン程は無い

20mgで収縮期血圧が10〜20程度さがる印象で強力(BP低い時、過降圧防ぐためコニール錠変更する医師も)

心血管合併例(冠攣縮性狭心症)によく使う

腎機能低下例にも使用しやすい

朝方服用すると翌朝方のVSA好発時期に抑えづらいという意見もあるため、寝る前に他薬コニール等を追加する例あり

基本1日1回で良いが、急激な血圧低下を防ぐためや早朝高血圧患者に対し良い反応性得るため朝、夜で2錠分2投与にしてる医師もあり

・副作用

血管拡張による頭痛や火照り感少ない

浮腫の頻度もアムロジピンより少ない

立ちくらみも少ない印象

 

コニール錠(ベニジピン):L.T.N型

・効果

降圧効果はマイルド、持続力あり 

そのため高齢者や血圧低めの方の冠攣縮狭心症例のファーストチョイスとなりやすい

腎低下進行抑制や尿タンパク減少などの効果あり、腎機能低下例の高血圧者に使用しやすい(糸球体内圧低下、腎細動脈血流流す)

・副作用

効果マイルドな分副作用も少なめ

 

ランデル錠(エホニジピン):L.T型

降圧効果はマイルドでさほど強くない印象アムロジピンよりやや弱い

その分副作用も少ない。(顔の火照り動悸等)

半減期短めのためベースコントロールにやや不向き

L.T型Caチャネル抑制効果あるが、実感なし

反射性頻脈が少ないのが売りのため他剤での頻脈患者から切り替えする場合もある

腎保護作用あり(糸球体内圧低下による蛋白尿抑制等)

最近は処方量減少している

 

 

アテレック錠(シルニジピン):L.N型

降圧効果は今ひとつで穏やかアムロジピンやベニジピンより弱いイメージ

効果もマイルドな分副作用も少なめ

腎保護作用あり

→浮腫少ない。浮腫患者や腎障害の高血圧患者向き

 

 

カルブロック錠(アゼルニジピン):L.T型

降圧効果は緩徐でマイルドアムロジピンより弱い

持続性ありで1日1回24時間効く。アムロジピンに次いで長いイメージ

反射性頻脈少ないので頻脈患者向き

アムロジピンで頻脈→カルブロックに変更等

腎保護作用(糸球体内圧低下による尿蛋白抑制等)

オルメサルタンとの合剤のレザルタスあり。

 

T型やN型について

ほとんどのCCBがL型Caチャネル抑制により輸入腎細動脈抑制で糸球体高血圧誘発する中で、T型 caチャネル抑制作用ももつランデルやカルブロック、N型caチャネル抑制作用ももつアテレック等は輸出細動脈にも作用するので腎保護作用があり、L型からこれらに切り替えることで下肢浮腫の改善も考慮できると考えられるのが特徴的ですね!

 

おまけ【狭心症治療薬】

ワソラン(ベラパミル):

頻脈性不整脈(上室性頻拍等)に使用する場合が多く第一選択としている医師も多い

レートコントール役

狭心症にメインで使用することはほぼない

血圧低下作用は少ない

陰性変力作用(心筋の収縮力を落とす作用)あるが程度は弱い

副作用も少ないが、もちろん徐脈に注意。

半減期が短く1日3回服用のためコンプライアンス低下に注意

 

ヘルベッサー(ジルチアゼム):

冠攣縮抑制作用はコニールやアダラートに劣る印象だが冠攣縮性狭心症にはよく使われる

心拍数低下、レートコントール作用はワソランにやや劣るがそこそこある。

心収縮能はあまり下げない。

ヘルベッサーRの方が半減期長く分1使用でOK

降圧剤として使用することもあるため、軽めの降圧効果あり注意(ワソランよりBP下がる)

大きな副作用は少なめ

 

以上カルシウム拮抗薬でした!

 

利尿剤【評価と位置付け】

今回は最近患者さんからべハイド錠について質問があったため利尿剤について記載してきます。

利尿剤POINT
  • 単剤使用はあまりない:ARBやCCBと併用
  • 浮腫を伴う事例や心不全患者に使用頻度多い
  • 場の脱水や電解質異常に注意が必要
  • BP5〜10程度下がるイメージ

 

べハイド錠:

作用時間

フロセミドやルプラックなどの短時間型とダイアートなどの長時間型の中間のイメージ

 

降圧効果は高くない

単剤処方はほぼなく、他降圧剤と併用で用いる場合がほとんど。下肢浮腫などを伴う症例に半錠だけ追加する先生もいらっしゃいます。

 

稀に副作用でめまいふらつき事例あり

他にも脱水や電解質異常には注意必要

 

年々処方頻度は減ってきているようです。

ナトリックスやフルイトランの方がよく使用されている印象です。

 

 

 

フルイトラン(トリクロルメチアジド):剤形がお花

効果

利尿効果よりも降圧効果を期待して処方する場合が多い(ラシックスの方が利尿降圧効果強い印象)。そのためマイルド効果狙うこと多い

塩分を抜くNa排泄薬というイメージで塩分摂取の多い日本人向きの薬と思われる。

少量でも効果実感ありで、ラシックスのように急性期には向かないが長期には問題なし

副作用

頻度は少ないが夏場脱水や電解質異常の副作用で注意 

フロセミドよりは低カリウムリスク少ない

副作用→低K・Na、耐糖能異常、高尿酸血症

 

 

ラシックス錠(フロセミド):

効果

慢性心不全に対して第一選択で使う場合多い

利尿剤の中で即効性が高く急性期心不全に強い

短時間作用(長時間のダイアートと使い分け)

副作用

長期使用で腎機能低下やカリウム低下(アルダクトン追加で防止できる)がしばしばあるので定期的な採血するなど注意。

また高用量で聴覚障害に注意

頻尿嫌いで水分摂取制限する方も。

 

ナトリックス:名前的にNa排泄してくれそう

効果

マイルドで、初期に効果的でその分相対的に副作用頻度も少ない印象。塩分過多に効果的。

フロセミド〉ナトリックス〉フルイトラン、ヒドロクロロチアジド

ラシックスより緩徐で長く効く1日1回

単剤使用はほぼなく、併用使用が多い。

副作用防止の観点で半錠のみ追加することも。

 

ダイアート:

効果

ラシックスより長く緩やかに効くため、長期使用向きの薬で使いやすい。

ラシックスより弱くマイルドなイメージで頻尿感も少ない→夜間排尿回数少ない

慢性心不全の高齢者に特に使われる印象

もっぱら30mgの使用実績が多い

 

ルプラック:

利尿効果強いイメージだが、実際はラシックスより作用がマイルドで長く緩やかに効く分低カリウムが起きづらい。

ダイアートより効果時間短いが強さ的に同じ。

 

アルダクトン:

利尿作用はさほどない。心保護作用あり

もっぱらラシックス等の低カリウム防止観点で併用使用が多いカリウム保持力は有用。

カリウムに注意が必要で用量が難しい。腎障害や単剤での血清カリウム5.0以上は困難

長期使用の女性化乳房に注意。そのため男性にはセララなどの処方が、増えている。

 

以上、利尿剤まとめでした!

血圧降下薬【ACE阻害薬位置付け】

今回は、降圧薬のACE阻害薬各薬剤の評価と位置付けについて記載しています。

 

POINT
  • 降圧効果はさほど高くない
  • ARB系薬に近年押されているが臓器保護作用のエビデンスは確かである。
  • 副作用咳嗽が気になる

 

レニベース錠(エナラプリル):

効果

古くからある薬

臓器保護作用あり(腎保護、心保護)

末梢血管拡張作用による後負荷軽減等、エビデンスも多く心不全を有する高血圧患者や糖尿病合併例に処方されていることが多い。

 

副作用:乾性咳嗽の副作用がしばしばみられる

誤嚥性肺炎起こしやすい高齢者には誤嚥防止のため有用。

他の副作用として、低頻度だが咽頭浮腫には注意必要。

 

 

タナトリル錠(イミダプリル):

効果

・降圧効果はあまり期待していない普通。

・副作用乾性咳嗽がやや少なめの印象

慢性心不全患者に有用で、β遮断薬導入前の増悪防止としても有用で第一選択で使う医師もいる

 

コバシル錠(ペリンドプリル):

効果

プロドラッグのため副作用少なめでゆっくり効き効果時間長め。高齢者向き。

降圧効果はややある程度

・心血管イベントリスク抑制に有用

・アルスハイマー進行予防(アミロイド蛋白抑制)や認知機能保持も、うたっているが実感は薄い

 

以上ACE阻害薬でした!

 

血圧降下薬【ARB系薬評価位置付け】

今回は近年主流となりつつあるARB系降圧薬のアジルバ、ディオバン、オルメテック、ブロプレス、ミカルディス、ニューロタンについて、医師先生方の見解まとめてみました。

 

POINT

降圧効果実感度合い

アジルバ〉オルメテック〉ミカルディス〉ディオバン〉ブロプレス〉ニューロタン

全体的に有用だが横並びの印象

ACE阻害薬で咳が出る方への切り替えで使う場合も多い

 

 

アジルバ錠(アジルサルタン):

ARBの中でとくに降圧効果高い印象

ジェネリック現在なく、薬価高め。合剤あり

24時間持続するため、朝型まで効く

・副作用少なめ。腎血管保護作用あり

・20mgの使用実績多い

・第一選択より他薬で効果不十分時の切り替えが多い

 

ブロプレス錠(カンデサルタン):

・昔からある薬で使い慣れてる。合剤あり

効果はマイルドやや弱めだが、他規格多く用量調整しやすいため、高齢者や心不全患者等へのファーストチョイスとして使いやすい

・腎保護作用あり

・副作用少なめ

・適応として慢性心不全予後改善見込める(不整脈予防、心肥大抑制等)ため血圧低めの方にも使用しやすいが、効果実感は薄い

 

ミカルディス錠(テルミサルタン):

・3規格あり調整しやすい。合剤あり

→低用量20mg、40mgとマイルドに使用し、不十分であれば80mgに増量していくと確かな降圧効果得られる。

PPARγ活性作用あり(チアゾリジン系の3分の1程度)のためインスリン抵抗性改善見込めるため糖尿病合併者に安心して使用できる、脂質代謝に好影響で抗動脈硬化効果見込めるが、効果実感は薄い。

脂溶性高めで細胞移行性良い

・1日効果持続する

 

ディオバン錠(バルサルタン):

・可もなく不可もなくで使用頻度は下がっている。

・副作用少なめ

・40mgで半減期4時間と効果時間短めで1日2回で処方する先生も。

・慢性心不全に効果あり(保険適応なし)

 

オルメテック錠(オルメサルタン):

他薬よりも降圧効果高い印象でよく使われる

・配合剤あり。 (レザルタス)

・副作用少なめ

半減期10時間 

 

ニューロタン錠(ロサルタン):

初期のARBのため、降圧効果はかなり弱いため、降圧治療よりも、もっぱら高齢者など血圧下がりすぎが懸念される方の臓器保護治療として使用されている。

心不全の心負担軽減

・腎保護作用(糖尿病性腎症で100mg有用)

・尿酸低下作用

 

 

以上簡単なARB薬まとめでした。